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ダウンタウンとの出会い

あれは確か小学校1年生ぐらいの時だったかなー。オカンに連れられて、天王寺の近鉄百貨店へ買い物に行った。

なぞなぞにハマっていて、その日も紀伊國屋で新しいなぞなぞの本を買ってもらった。帰りの電車の中で、オカンに次から次へと問題を出していると、

「難しい字も読めて賢いねー」

隣に座っていたおばちゃんが話しかけてきた。人懐っこく、人見知りをしない子だったので、そのおばちゃんにもなぞなぞを出し始める。

太郎くんがリンゴを買いに行きました。さて何個でしょう?

だいぶハショってしまった。早くなぞなぞを出したくて。急に褒められテンションが上がり、焦りすぎた。

「あんたそれ、ダウンタウンの漫才やんかー」

オカンがツッコんだ瞬間、電車が揺れる。なぞなぞを出されたおばちゃん。向かいで夕刊を読んでたおっちゃん。ドア付近で外を眺めていた学生。

みんなが笑った。

僕を見る大人たちの目が、すごく優しかった。なぞなぞをちゃんと出せなかったのをバカにして、笑ってるんじゃないことは分かる。

でも分からない。なぜそんなに笑っているのか。それと、聞きなれない言葉“だうんたうん”。なんやそれ。人か?なぞなぞにリンゴが出てきたから、食べたことないフルーツか?

大阪では知らない人はいない。面白い漫才をするお笑いコンビ。それがダウンタウン。

最寄り駅に着くまで、オカンに説明してもらったが、6歳の子どもには理解できるわけもなく。 今までで一番、難しいなぞなぞだった。

西日でオレンジ色になった車内に拡がる突然の笑い声。見知らぬ大人たちの温かい目。ダウンタウンとの出会いは衝撃的だった。

それから数年後、

小学生の高学年にもなると、フリ・ボケ・ツッコミが分かるようになった。

  • フリ:ダウンタウンの漫才
  • ボケ:子どもが偶発的にマネる
  • ツッコミ:オカンの一言

あの電車で起きた出来事も理解でき、身内ネタとして事あるごとに家族で笑い合った。

土曜日は昼間で学校に行き、帰宅後は吉本新喜劇。日曜はお好み焼きを食べながら、家族で漫才番組。

中田カウス・ボタン、海原はるか・かなた、今いくよ・くるよ、酒井くにお・とおる、横山たかし・ひろし、大木こだま・ひびき、宮川大助・花子、オール阪神・巨人、トミーズ、ハイヒール、おかけんた・ゆうた

それぞれ個性的で面白くて、笑いまくった。毎週末が楽しみで仕方なかった。でも、1つだけ気になることが。数年前に電車で知ったお笑いコンビ。

ダウンタウンが一切、出てこない。

週末の漫才番組はおろか、他の番組にも出てない。というか、テレビでダウンタウンを見たことがなかった。なんでなんやろ。

そんな疑問を抱えていたある日。

親父が出張で帰ってこない週末があった。夜のチャンネル権を初めて握る。晩ご飯を食べながら、ふとテレビ欄に目をやる。

ダウンタウンのごっつええ感じ

即座にリモコンを取り、チャンネルを回すと

アホアホマンが映っていた。腹を抱えて笑った。

「後ろにも茶色いシミついてるし、こいつウンコも漏らしてるやん。」ゲラゲラ笑いながら夢中になっていると突然。

バァァンッッッ

オカンが箸をテーブルに叩きつけた。目が吊り上がっている。ヒステリック気質で、急に怒りだすオカンはめちゃくちゃ怖い。なだめ役の親父は出張で不在。

「ご飯中にごめんなさい。」小さく謝り、テレビを消した。

サッとお風呂に入り、パジャマに着替えて布団にくるまる。なんであんなに怒ってたんやろ。食事中に汚い話をしたからか?

いや、違う。志村けんのバカ殿でオナラやおしっこネタが出てきても、メシ時だろうが関係なく家族みんなで笑ってる。うーん。。。

  • 志村けんは、軽い下ネタをコミカルに
  • ダウンタウンは、重い下ネタをリアルに

同じ下ネタでも、度合いや演出方法で受け取り方が大きく変わる。大人になった今は分かる。アホアホマンを見て、オカンがなぜ急に怒りだしたのか。

しかし、10歳の思考力では理解できず。

ダウンタウンの漫才について教えてくれた時は、笑顔だったオカン。ダウンタウンのコントを見て激昂するオカン。不思議で仕方がなかった。

志村けんはOK ダウンタウンはNG

こんな空気が食卓にいつしか流れるようになった。中学に入る頃には、すでにごっつええ感じは終わっていた。

部活動で忙しく、朝練・夕練の毎日。週末も遠征で、そもそもテレビを見る時間が減ったこともあって、あれからダウンタウンを見ることはなかった。

ダウンタウンとの再会